【毒親とは?】人生を左右するほどの影響を及ぼす毒親
-- 目次 --毒親とは?
毒親とは「子供の人生に悪影響を及ぼす親」と言う意味で使われています。
語源は、アメリカの精神医学者スーザン・フォワードが書き記した「毒になる親」という著書から由来していると言われています。
毒親は、ただ性格の悪い親という訳ではなく、あくまで子供の人格形成や精神的成長に悪影響を与える親という意味です。
言葉の表現が日本語では過激になってしまい、親の人格否定のような語弊を生む事もあるので注意が必要です。
あくまでも、子供から見て悪影響を及ぼしている親というニュアンスが適切ではないでしょうか。
また、子供への影響力は基本的に母親の方が大きく、子供に悪い影響を与える母親を「毒母(どくはは)」という事もあります。
毒親の具体的な例は、
○精神的、肉体的、性的虐待を行う
○過保護、過干渉
○育児放棄(ネグレクト)
○子供への同一化・私物化
などがある親で、度合いの差はありますが、子供が正常な発達を出来ていない環境を作っている親がそれにあたります。
尚、これらの環境は子供が「普通」と感じて成長することがあり、毒親を毒親だと気付かずに大人になる事が多くあります。
また、毒親になりやすい性格の特徴としては、
○感情的
○暴力的
○自尊心が低い
○パウンダリー(境界線)の未確立
○子育てに対する不安が強い
などがあります。
これは、親の精神的未熟さが特徴と言えるでしょう。
色々なケースで毒親というものが存在しますが、共通して言える事は「子供の人格を無視している」という部分があります。
子供を自分の所有物のように扱ったり、存在の否定をするなど、子供を一人の人として扱えていない場合、子供の成長は歪んだものになってしまいます。
それが大人になっても悪い影響となっている事は大きな問題であると言えるでしょう。
毒親の元で育った場合
毒親の元で育った子供は、様々な影響を受けて生きづらさを抱えることとなります。
特徴としては、
○対人関係の構築が適切に出来ない
○偏った考え方による社会不適応
○極度の緊張や不信感
○歪んだ愛情表現
○身体的、精神的障害
などがあります。
どの傾向も、社会に適応がしにくい場面が表れてしまいます。
幼少期の親から受ける影響は大きく、親の愛情が有る無いに関係なく子供にとってマイナスに働く事もあります。
また、親から受けるマイナスな影響を子供は無意識に回避をしようともします。そしてその回避が良くないクセになる事もあります。
そして、ほとんどの毒親の元で育った子供は、自分の存在に価値を見出せず自暴自棄になりやすい傾向にあります。
では、毒親の元で育った事がわかった方はどのようにしてくことが必要となるのでしょうか。
毒親の影響を改善する方法をいくつかご紹介します。
自分の親が毒親であると知ること
毒親の元で育った子供は、大人になっても自分の親が毒親だったと理解していない方は多くいらっしゃいます。
また、子供の頃は親がほとんどの世界観となっているため、歪んだ出来事や状況でも「それが普通」と思う傾向にあります。
親の言動が一般的に異常な行為でも「親は自分の為を思ってやってくれたことでそれは正しい事だ」と思い込んでいる事もあります。
この場合、周りが正しくて自分が間違っているという、自分に対して否定的な考え方をする傾向にあります。
まずは、自分の悩みの根源が幼少期の環境から受ける内的なもので、その原因が毒親の影響を受けているという事を知ることが大切です。
それが出来れば、実は自分の内的なものが自分の意図しないもので、それが悩みの原因だと気付くことが出来ます。
改善対象の大元である自分の内的な部分を発見することで、その部分と正しく向き合うことが出来ます。
こちらに自分の親が毒親かどうかのチェックシートも作成しました。
毒親チェック
親が毒親であるかの度数が計れますので参考にしてください。
毒親を変えるのではなく自分が変わる
毒親に育てられたと気が付くと自分の悩みの原因が親のせいだと恨んだり拒絶したりすることがあります。
確かに他者のせいで自分が被害にあっているのは理不尽です。
ですが、毒親を変えるという事は難しいことです。
毒親に限らず、他者を自分の思い通りに変えるという事は難しいことです。
そこで、解決の近道としては自分が変わるという方法をとるのが望ましいでしょう。
他人を変える事は難しくても、自分を変える事は誰にでも可能です。
但し、無理をして毒親を受け入れるようにするという訳ではありません。
無理せず、毒親を受け入れ、自分を受け入れられるようにするということです。
自分が成長する
毒親の影響は大人になっても苦しみの原因になります。
また、大人になっても毒親の干渉を受け続ける事もあります。
そのような時には、自分が成長することを心がけてください。
自分が成長すると、毒親からの影響を受けにくくなります。
親子関係というのはどうしても親が上、子が下という関係になりがちですが、子供が大人になっている場合は変わってきます。
大人になれば一人の人として対等になっていかなければ、人格が成長したことにはなりません。
ですがいつまでも上下関係のままでは、毒親の影響を受け続けてしまいます。
それを回避するには子が大人として、また社会的にも成長する必要があります。
様々な物や人と出会ったり、色々な実績を積むことで、心理的・精神的成長をしていきます。
また、物理的に親から独立する事も成長の一つです。離れることによってまた違う面が見えてくる事もあります。
過去は過去、今は今という思考で捉える
毒親に育てられた子供は、成長過程の記憶が呪縛のように心を縛り付けている事があります。
例えば、必要の無い顔色伺いをしたり、何かに依存をしたりという行為は、過去の記憶から身に付いたクセが原因になっている事がほとんどです。
『親の顔色を伺っていなければならなかった。』
『親に依存するような生活をしいられた。』
などの過去が、今の自分を縛っている状態です。
これでは、毒親の影響を払拭する事はできません。例え毒親から離れてもです。
過去にあった出来事は、今の出来事とは無関係です。
どうしても過去の経験から言動を決めてしまいがちですが、今には今の相応しい判断が必要です。
そしてそれを考え決めるのは子である本人です。
過去は過去、今は今という切り離した視点で物事を捉える事が大切です。
親に接したように他の人と接する必要は無いのです。
このように、毒親からの開放は自分自身の力で行うことがベストです。
自分の力で毒親から解放されれば自信にもなり、自己成長にもつながります。
また、アダルトチルドレンという概念があります。
アダルトチルドレンとは機能不全家族で育った子供が、大人になっても生きづらさを抱えている人達のことです。
まさに毒親は機能不全家族の原因になる要素で、毒親の子はアダルトチルドレンになる可能性が高いといわれています。
アダルトチルドレンの克服をすることによって毒親の悩みも解消されるかもしれません。
毒親に対する対処
前述にも有りましたが、毒親を変える事は難しいことです。
ですので、毒親に対する直接的対処は実質的にはありません。
毒親が毒親であることに気付き、自分で変わりたいと思わない限り、その人はずっと毒親なのです。
ですが、何もせずにいると今のままなので、間接的にできることを書いていきます。
毒親がなぜそうなったのかを読み取る
毒親に育てられた場合、大人になっても拒絶したくなる衝動にかられます。
これでは、毒親に対して何も出来ません。
そこで、まずは毒親に対する拒絶感(マイナスな感情)を和らげて行きます。
そのためにまずやる事は、毒親がなぜ毒親になったのかを考えていきます。
毒親といってもその人の人格を形成する過程でそうなった原因や理由があるものです。
「自分も毒親に育てられた」、「ひどい犯罪に巻き込まれた」、「そういう時代に育った」、「精神疾患を患っている」など色々な事が考えられます。
まるでドラマでも観ているようなイメージで考える事がいいでしょう。
そうすることによって、親を一人の人間として捉えやすくなります。
「親はこういう人で、たまたまその家に生まれて、たまたま今の自分がいるんだ」と客観的に考えられると、拒絶感は薄まります。
直接話しをする事も良いですが、難しい場合は過去を思い出して考察する事もいいでしょう。
但し、思い出すのもつらい時は、無理に考える必要は有りません。
他の事に目を向けて自分の成長を優先する事も必要です。
親の一手先を読む
具体的な事象として、毒親が子供に悪い影響を与える時は何かのトリガーが存在します。
例えば、なんでも指図をする親がいるとしましょう。
その指図の裏には親の気持ちがあります。
支配欲や認証欲求、思いやりかもしれません。
そこで、その気持ちが出てくる前に何か出来ないかを考えてみましょう。
支配欲ならば子が共感をすることによって、強欲な部分が出てこないかもしれません。
思いやりなら普段から心配をさせないようにする事もいいでしょう。
マイナスな出来事が起こる時は、その前に何かきっかけがあります。
親がどのような気持ちになるのかを一手先読みをして言動を決めると、親の言動も変わってきます。
利用されないようにする
毒親は物理的にも精神的にも子供を利用しようとします。
家のことを無理やりやらされたり、一般常識的な子供らしさを奪ったり、自分の精神を保つために子供を罵倒したりと、様々な方法で毒を子供に与えようとします。
どれも親が自分のために子供を使っている状態です。
子供は、小さい頃はよく理解できず、ただ従うしか無いかもしれませんが、成長するにつれ矛盾や非常識な部分に気付いていきます。
そこで上手く利用されないように強かな子供になれればいいのですが、ほとんどの場合はどうする事もできないまま大人になって行きます。
とても理不尽ではありますが、小さい頃は苦渋を飲むしか無いかもしれません。
ですが、遅い早いは有りますが、いつかは利用をされないようにする力がつくようになります。
親の言っていることを鵜呑みにしない知識や、利用し返すようなコミュニケーション能力、親と離れる経済力など、子供が変わろうとすれば身に付けることが可能な能力です。
毒親に絶望せず、利用されないように戦う力を蓄えることが毒親への対処となります。
大切なのは、親をただ否定したり恨む事で終わってしまわないことです。
親がなぜそうなったのか?親がどのような状態だったのか?を考え理解する事で、自分の中にあるわだかまりを明確に出来ます。
そのマイナスに働いていたものを認めることによって、今の自分をありのまま受け入れることにつながります。
将来、毒親に育てられたからこそ、今の自分があると言えるようにするかどうかは自分次第なのです。
毒親は、子供が毒親では無いと認めたときに毒親ではなくなるのかもしれません。
毒親になってしまう原因
毒親が毒親になってしまうのには原因があります。
いくつかの原因を見ていきましょう。
毒親に育てられた
毒親に育てられた子は大人になって同じような毒親になる傾向があります。
無意識的に毒親の傾向である行動を取る場合と、自分がされた事を意識的に行う傾向とがあります。
無意識的に行う場合は、毒親に育てられたがために、子育てに対しての知識や教養が身に付かないことが起因として考えられます。
自分がしてもらわなっかことを、どうやったら子供にしてあげられるかが分からない為です。
意識的に行う場合は、自分がされたのだから自分の子供にしてもいいという考えが起因となります。
また、逆に自分がされなかった事を過剰に行ったり、自分がされていやだったことを全くやらなかったりと極端な反行動になる事もあります。
毒親に育てられた場合は、精神的満足感が枯渇している状態で大人になる事が多いので、親になった時に子供で充足感を埋めようとしてしまいます。
毒親は連鎖をしやすいという事でもあります。
責任感が強すぎる
親としての責任感が強すぎると、子供に良くない影響を与える事があります。
親は良かれと思って行っていることでも子供にとっては毒になるという事です。
これは親の役目を果たそうという責任感が強すぎる状態です。
また、このタイプだと毒親自体がストレスを抱える事にもなり、親子共につらい状況になってしまいます。
特に一番上の子を育てる時に多く、子供のコントロールや過保護・過干渉になる事が多いようです。
尚、片親などで両親の役割を一人で行っているような状況も、頑張りすぎて子供に悪い影響が出る事もあります。
親としての責任を持つ事は大切ですが、子供をコントロールするような状態にはしたくないものです。
愛情の歪みを持っている
親子間の愛情は等価交換ではありません。
どうしても親から子への愛情が多くなります。
ですが、「愛情を注いだ分、同等の愛情が欲しい」「愛情を注ぐ事が出来ない」という親は、毒親になってしまいがちです。
親というのは、子供に対して無償の愛情を注がなければなりません。
なぜなら、大人と子供では愛情の注げる量が違うからです。
子供からの愛情を期待してしまうと拍子抜けになってしまい怒りや支配の感情を抱いてしまいます。
また、愛情を上手く注げない親は、愛情を受けてこなかったケースが多く、自分が愛情を受けていないので他者にどう愛情を注いだらいいか分からないということがあります。
この場合は、育児放棄などになってしまいます。
尚、共依存といって相手に必要とされることに依存するというものがありますが、これも歪んだ愛情となります。
献身的で子育てが生きがいと言う方に多く、親離れを拒んだり、親離れした時に大きな喪失感を覚えたりします。
自尊心が低い
自尊心が低い親は、その自尊心を埋めるために子供を利用する事があります。
子供の存在で自分が満足感を得ようと、子供に感謝を強要したり、子供より上だと誇示するような行動をとったりします。
子供という、「自分に一番身近な存在」にその矛先が行ってしまうのは仕方が無いことかもしれませんが、子供にとっては理不尽極まりない事です。
自尊心とは自分を認めそのまま受け入れるということです。
逆に言うと、ありのままの自分を受け入れられないのが自尊心が低い人間です。
自分自身で満足感が得られないので、弱者に対して満足感を得ようとする行動をとります。
必然的に弱者は被害者となります。
また、社会的に経験が少ない場合も、自尊心が低く毒親になる場合もあります。
特に専業主婦の女性に多く、無意識に社会的に認められていないと感じ、劣等感を払拭するために家庭という世界の中で自尊心を保とうとして子供に支配的になる事があります。
子供には自分の頑張りを認めて欲しいと思ってしまうのです。
これは、文化や社会構造に問題がある部分もあり、特に戦後の日本では男尊女卑の考えが残っていたため女性が自尊心を持つ事を許されず、そのまま親になった場合は毒親になる可能性も高くなるというわけです。
尚、自尊心は自分で高める事も可能です。
参考:自尊心を高める方法
毒親になる原因の共通点として、「親の精神的未熟さ」が見られます。
最初から親である人はいません。親になってから親として成長をするものです。
ですが、親であるための成長が出来ず、子供の人生に悪い影響を与えてしまうというのは親のエゴではないでしょうか。
そのエゴが、親としての責任を子供に転嫁してしまいます。子供に怒りをぶつけたり蔑んだりしてしまうのは、責任に押しつぶされそうな自分を守るために行っています。
人は未熟でも当然です。未熟な自分を認め、人のせいにはせず、ただ自己成長をしていけば子供にとって毒親になる事はないでしょう。
自分が毒親にならないために
毒親に悩まされているという方が多くいらっしゃる中、自分が毒親になってしまうのではないかと悩む方も多くいらっしゃいます。
毒親に悩まされてきた方が、自分も毒親になってしまうかもと悩むケースもあります。
実際に親になって、自分のしていることが、子供の頃に親からされていたことだと気が付く事もあります。
それでは、自分が毒親にならないための方法を見ていきましょう。
大人と子供の差をわきまえる
親になると、どうしても子供を自分に投影して接してしまう部分が出ます。
親としては、子供のためと思ってすることかも知れませんが、大人と子供には様々な面で差があることを念頭に置かなければなりません。
自分ならこうするということを、そのまま子供に当てはめてしまうと子供理解が出来ず混乱する事があるからです。
親の意見の前に、子供の立場になって気持ちや考えを考察する事が大切です。
また、大人の事情をむやみに子供に見せる事も悪い影響になる事もあります。
夫婦間の問題や仕事の愚痴を子供に聞かせていると、大人になった時に不安が強くなる事があるので注意が必要です。
親は、子供が子供らしくいられるような環境を作ることが役目ではないでしょうか。
子供に見返りを求めない
親は無償の愛情を子供に注ぐことが最良と言われています。
見返りを求めるというのは親のエゴといえます。
まして、子供を自分の満足感を埋めるために使うようなことがあっては子供は親の操り人形になってしまいます。
とはいえ、人は喜びや幸福感を得られない事には取り組むのが難しいものです。
喜びや幸福感を得られないと、我慢だけになってしまい不平不満が出てきてしまいます。
その矛先が子供であった場合、毒親となってしまいます。
子育てでは子供の見返りを求めるあまり、一生懸命に干渉したりしてしまいます。
それでは、子供に悪い影響となってしまう可能性が高くなってしまいます。
そうならないためには、自分がすることへの満足感を得られるような考え方(見かた)を工夫する事も大切です。
子供の小さな成長を自分のことのように喜ぶ。子供の笑顔を見るために頑張る。
小さなことでも本当は幸せなことなんだと思うような思考を工夫すると満足感が得られ、不満は薄まります。
親が子供に対して高望みをしてもお互いに良くないだけなのです。
自己の成長が子供の成長につながる
親は、最初から親ではありません。
親になってから親として成長をするものです。
また、人としての成長が親としての成長にもなり、親の成長は子供に大きく影響します。
時々、親が子供の成長を自分の成長と重ねてしまうようなケースがありますがそれは勘違いです。
それぞれは個別の人格であり、親が成長を止めてしまっては、子供の成長に良い影響を与える事が難しくなります。
まずは自分が親として、大人として成長することが大切です。
その背中を見て、子供もまた成長をしていきます。
親も子供も今の自分が大切
自分が毒親だと悩まれている方も、毒親に悩まされている方も、実は問題は同じところにあります。
それは、親子という人間関係を上手く構築できていないというところです。
ひどい行為があったとしてもそれを糧にしていく事も可能です。
親が人として成長する事もできます。
実はお互いにまだできることがあるのではないでしょうか。
そして、どちらにも言えることが、「今の自分を大切にすること」が足りていないという言う事です。
毒親に限らず、マイナスな感情というのは物事に悲観的になったり不安が強く出た場合に起こります。
それは、今の自分や環境に不満足だからです。
満足感が充分であれば、大抵のことに対してマイナスだけの感情にはなりません。
プラスの思考を出来るようになります。
余裕を持つ、自尊心を高く持つということです。
今の自分を前向きに捉え、行動をすることによって、環境や状況も前向きになっていくものです。
今の自分を大切にして悲観的にならないような気持ちの持ちようが毒親に関する悩みを解決に導くのではないでしょうか。